都営新宿線の急行廃止による3密の軽減と生産性の改善(Ⅱ)

都営新宿線では急行が1時間に3本運行されているが、3密や生産性等の観点から見て大いに問題があると思われるので改善案を提案したが、約半年が経過して状況が変化しつつあるので、その経緯を明らかにしながら問題点をさらに深堀りして、改善提案をしたい。

1.前回提案した問題点と変化点

(1)3密:変化なし

(2)生産性:変化なし

(3)環境面:変化なし

(4)定期代の代金:変化なし

(5)8両/10両 編成切り替えのムダ:2022年度中に都営新宿線は車両を追加発注して8両編成を廃止し、全て10両編成にするとの方針を2021年末に発表した。

その結果、この切り替えのムダを排除することによって創出した余剰人員を、東京メトロ
有楽町線の延伸に伴い必要となる要員として活用する改善案は不要となった。

上記の有楽町線の延伸については、東京都や関係各方面からの強い要望があるにも関わらず東京メトロは当初より、既に9路線を保有しており投資負担が大きいのでこれ以上の路線拡張はできないとの一貫した主張を繰り返していたが、2021年末より急に風向きが変わり、2022年1月28日に国土交通省へ有楽町線延伸の鉄道事業許可申請を行った。有楽町線を延伸して豊洲と住吉間を結ぶ総建設費は2,690億円と多大であり、しかも延伸部分には3駅しかなく利用する客数から試算しても投資回収は容易でないはずであり、当初の頑なな拒否姿勢から一転して延伸推進側に回ったのは極めて不思議である。まさか前回の改善案で、8号線の延伸を東京メトロがやりたくないなら、都営地下鉄が余剰人員を活用して取り組めば良いと述べたのが功を奏したのではないと思うが、タイミングは合っている。因みに東京メトロと都営地下鉄は、数年前に国と東京都の肝いりで会社合併をしてはどうかと強く打診されたが、経営方針や体質の相違から破談となる等、過去から抜き差しならない因縁があり、お互いに自分の領域を干渉されるようなことは許しがたい面があるのかもしれない。とはいえ、この延伸により、乗降客の多さで日本一を競いあっている東陽町や錦糸町を抱える東京メトロ東西線やJR総武線の出退勤時の過酷な混雑緩和を考えると3密対策も含めて効果は絶大であり、延伸工事の一刻も早い完成が望まれる。

2.今回提案する都営新宿線の急行運行の問題点と改善案

2.1 問題点

(1)急行の停車駅の問題点

都営地下鉄が発行する都営新宿線の路線図を見てみると、21駅の中で8駅が急行の停車駅となっており、始発(又は終点)の新宿と本八幡を除けば6駅となる。東京メトロのみとの乗換えをするのは市ヶ谷駅だけであり、神保町駅、及び馬喰横山駅は複数路線との乗換えがあり、森下駅は都営路線のみとの乗換えとなっている。大島駅と船堀駅は乗換えがなく急行の待合せに利用されているだけである。また、新宿3丁目駅、九段下駅、小川町駅、岩本町駅、及び住吉駅については、他路線との乗換えがあり、交通の要衝であるにも関わらず急行が停車しないのは利便性を著しく阻害している。このように急行の停車駅の設定には確たるものがなく、乗換えの利便性も悪いので、利用者にとっては極めて不便なものとなっているのが明白である。

(2)急行の運行時間の問題点

平日は午前10時~午后4時、土日祭日は午前9時~午后6時までの間に急行を運行しているが、何故このような運行時間の設定になっているのか理解しずらい。どうしても必要と考えるなら、出退勤時も急行を走らせるべきだと思うし、また、土日祭日には出退勤する人が少ないので終日急行を運行すればよいと思うのだが、そうはなっていないので、急行の運行時間の設定にも疑問を感じざるをえない。

2.2 改善案

(1)急行の廃止、又は減便

現在、1時間に3便運行している急行を廃止、または減便する。これにより、3密が軽減でき、乗車が安定し、生産性、環境面でのメリットが大きい。急行の乗車率が低いので、急行を廃止、または減便しても乗客への影響は少なく、むしろ急行の待ち合わせ時間がなくなって無駄が省けるとともに、運行車両の減便により地下鉄の運賃が軽減できる。なお、出退勤時の混雑する時間帯には元々急行は運行されていないので急行廃止による利便性の阻害等は発生しない。

(2)AI活用による地下鉄運行効率の向上

各駅での乗降人員、及び乗車率のリアルタイムでの見える化をすることにより運行効率の向上、及び乗客の利便性を向上でき、3密の軽減をはかることができる。

【前回提議した問題点】

(1)3密

急行が通過し各駅停車の地下鉄が到着するまで各駅のホームで待っている時間は最大10分以上あり3密になり易く、また急行の通過待ちをしている停車中の車両内にいる場合も空気が滞留してエアゾルが浮遊する可能性がある。

(2)生産性

急行の都心での停車駅が少ないため乗車率が各駅停車の普通車両よりも少ない。そして特に急行の次に来る普通車両には大勢の乗客が乗り込む等、運行車両の効率、及び乗客の生産性を著しく阻害している。また各駅での急行の通過待ちも大きな無駄である。

(3)環境面

急行の通過待ちのため各駅で停車している普通車両は数多く、停車中のエアコンや照明等の無駄な電気代は多大である。

(4)定期券の代金

都営新宿線の西大島駅から大手町へ行く場合、都営新宿線の淡路町駅で丸の内線に乗り換える方、都営新宿線の住吉駅で半蔵門線に乗り換えるより定期券の代金が高くなっている。利用者から見ると同じ場所にいくのに費用が異なるのは違和感があり、これも都営新宿線のコスト高によるものと考える。(但し1回分の乗車賃は同一)

(5)8両/10両編成切り替えのムダ

8両編成に切り替えるのは車両の運行エネルギーやエアコン等の電気代削減が目的だと思われるが、混雑する出退勤時に10両にするために追加する2両分のエアコン立上げ時の電力負荷増大による電気代の増加や、8両⇔10両へ切り替えるために必要な要員の人件費等を勘案するとトータルコストでのメリットは極めて少ないと思われる。(因みに、JR常磐線では編成車両数を統一し効率を上げている)

以上

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